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2008年12月

歌舞伎20選とはどんなものか

180pxdanjc5abrc58d_ichikawa_vii_as_ 歌舞伎・弁慶

 歌舞伎座の建て替えが決まり、現在の東京・歌舞伎座の「さようなら公演」が来年1月に行われる。それに際して、読売新聞社と松竹は「読者が選ぶ好きな歌舞伎20選」なるものを募集して、このほどその結果が出た。

 トップは過去2回の調査と同じ「勧進帳」で、その中で演じられる弁慶の豪快な役どころが人気の的になっている。2位は「義経千本桜」など以下人情あふれる世話物から華やかな舞踊や新作など多彩な作品が選ばれている。ちなみに前2回の調査とは、歌舞伎座開場100年を記念した1987年と松竹創業100年を前にした調査である。

 20選を順位順に上げると以下の通りになる。

①勧進帳・・・1852票 ②義経千本桜・・・931票 ③京鹿子娘道成寺・・・881票 ④仮名手本忠臣蔵・・・829票 ⑤白浪五人男・・・810票 ⑥助六・・・749票 ⑦桜姫東文章・・・545票 ⑧源氏物語・・・363票 ⑨連獅子・・・331票 ⑩恋飛脚大和往来・・・309票 ⑪菅原伝授手習鑑・・・276票 ⑫三人吉三・・・257票 ⑬阿古屋・・・256票 ⑭俊寛・・・226票 ⑮伽羅先代萩・・・224票 ⑯暫・・・195票 ⑰女殺油地獄・・・183票 ⑱里見八犬伝・・・181票 ⑲曽根崎心中・・・179票 ⑳元禄忠臣蔵・・・173票

 この中には、3作品の大阪を舞台にした上方作品が入っている。「恋飛脚大和往来」・「女殺油地獄」・「曽根崎心中」がそれだ。また、上位2位から6位までは過去2回の調査でも上位を占めている。

 演劇評論家の犬丸治氏は、「見た目や様式美より、ドラマとしての面白い作品に惹かれる傾向が強まっている」と話している。その一例は、「菅原伝授手習鑑」、「俊寛」「伽羅先代萩」などだ。

 応募者の年代別の割合は、60歳代・25.9% 50歳代が22.0% 70歳代15.2%, 30歳代は10.1%20歳代5.1%となっている。男女別では、女性が72.6% 男性は27.4%となっているが、前回に比べ男性の比率が若干ながら増えたそうだ。とくに女性に人気があるのは、「京鹿子娘道成寺」・「源氏物語」などだが、女性が9割近くを占めている。

 日本の伝統芸能の中でも、歌舞伎はその中心的存在であり一般大衆を魅了するもっとも人気のある芸能である。古来から日本人の気持ちを捉えて離さないことが分かった。

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オスとメスの出会いは万物共通

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 素数ゼミ

 どんな小さな虫であっても、大きな動物であっても子孫を残す行動というのは大変な問題であることが見えてくる。わが国でも、いま少子化問題で騒いでいるが、出会いがなければ事が始まらず、人間も動物も変わらないようだ。

 よくニュースになるセミの大量発生現象、同じ場所で同じ時期に発生するのもこの現象と言われる。素数という整数があるが、2・3・5・7・11など1と自分自身以外では割ることの出来ない2以上の整数を言うそうだ。その数字の17年、13年に一度だけ北米大陸で大発生する不思議なセミを「素数ゼミ」と言うそうだが、なんと100メートル四方に40万匹という信じられない密度で大量発生する。これも出会いによって決まる生態なのだそうだ。

セミは長い一生のほとんどを土の中で過ごすが、ほんの最後の何日かで子孫を残すために地上に出てくる。寒冷な厳しい環境の下では地中で過ごす期間も長く、運良く同じ時期に、同じ場所で地上に出てきてパートナーに出会ったセミだけが子孫を残すことが出来るのだ。これまでの地球の歴史上でも、そのほとんどを巨大な氷河で覆われていた氷河期が過ぎて、そこから逃れることの出来た特定の地域の少数のセミだけが生き延びたと言える。

250pxe382ade382a2e382b2e3838f_p キアゲハの場合は、せり科の植物を餌にして行動範囲も広く、卵を産み付ける場所や幼虫が生まれる場所もまちまちだけにパートナーに出会える確率も大変低い。そのため少しでも高い見晴らしのよい場所で、オスはメスを見つけるために集まってくる。それを見て、メスも移動して集まってくる。お互いが、高い場所、高い場所と追っかけっこするように移動して行く。この現象を「ヒル・トッピング(山頂集中行動)」現象というそうだ。

 渡り鳥のカモは、一般にオスの方がメスより派手で色鮮やかな外見をしているが、太平洋のハワイ諸島などに住み着いたカモは、オスもメスも区別が付きにくいくらい地味だそうである。これは立教大学の上田教授に言わせると「オスとメスが普段からお互いをじっくり観察できるため、メスは中身重視でオスを選ぶ」のだそうだ。ゴクラクチョウやキジ、クジャクなどは、オスが派手だがつがいにならず、メスが子育てをする一発勝負型であるためにオスが派手な外見と言われている。

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この本を読んでの感想を書いた

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「日本語が亡びるときー英語の世紀の中で」(筑摩書房)

 日本人の英語苦手症は、大変数多くいるし、勉強していながらもなかなか上達できない人も多い。つい最近も、ノーベル賞受賞者の一人、益川教授が授賞式で「I cannot speak English.」と正直な気持ちを堂々と表明された。

じつは、本当に英語に堪能な人は「日本語の機能と陰影をどう護るか」という問題に腐心しているのだ。21世紀はインドやシンガポールのように、自国語と英語が二重言語化していく地域がアジアでも増えて行く。一極集中化の中で、日本語が生き残る道はどこにあるのか。この本は、そのことを訴えている憂国の書だと評判になっている。

著者は、水村美苗(みなえ)さんと言う作家でバイリンガルの作家と言われている位英語が達者な人だそうだ。インターネットの普及とともに英語が世界を席巻しつつある今日は、「英語の覇権を憂う書」として上梓したのだと著者は語っている。

 著者は日本語について、「無限の造語力を持つ漢字を音訓自在に組み合わせて語彙を広げ、ひらがな、西洋語を表すカタカナ、ローマ字など多様な文字を縦にも横にも併記して、歴史も感情もすべてを含み込む。書き言葉としての日本語は、稀有なだけでなく、世界に誇れる機能的かつ陰影豊かな言葉です」と話す。グローバリズムとかやらが日本で広まるにつれ、無批判な安易な本しか読まない人々も増えて、日本語が「すでに自国の文字を持たない、現地語に墜ちた響きを感じる」とも述べている。

 日本が植民地化を免れ、漢字の素養を蓄えた日本語の実力が頂点に達したのは、二葉亭四迷の「浮雲、夏目漱石・森鴎外・谷崎潤一郎らが活躍した明治後半から昭和初期だったと限定、西欧の列強と互角の思考力を担う「国語」の建設を文学が果たしていたと役割を評価している。「福沢諭吉が1年間も枕を使って眠るのを忘れたほど、猛烈な勢いで西洋の知識を輸入し、急速に日本語は近代化した。ところが英知を受け取るほどに、西洋とわが国の隔たりに苛まれた」あの漱石は、神経衰弱にもなった。

 ところで著者の水村氏のプロフィールを詳しく調べると、1960年代に父の転勤に伴って12歳で東京からアメリカへ渡り、エール大学院で仏文学を修め、帰国後の90年、漱石の未完の遺作を歴史的仮名遣いで書いて、デビュー作の「続明暗」をまた2作目として、英文混合で「私小説from left to right」を書いている。この時には、「英語で翻訳されることを意識して小説を書いたりしたら、日本語の醍醐味は消えます」と語っている。

「中途半端な国民総バイリンガル化を求めるより、少数精鋭の二重言語者を育てて、翻訳出版の伝統を維持する。作文を書かせるより、古典をたっぷり読ませる教育を積む。それが日本語の生命を保つ現実的な方策であり、勿論、小説家は密度の高い文体を全力で、さもなければ日本語はやがて亡び行く。私たちはその分かれ道に立っています。」と述べている。英語教育を小学校から進めよとしている文部科学省のお偉方に聞かせたい、読ませたい本と言える。

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ミシュラン効果はこんなところにも

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高尾山山頂とその展望

 高尾山と言っても、東京近辺の人しか知られていない山なのだが、最近は外国人観光客の姿が目に見えて増えているとのことだ。八王子観光協会と市が調査したところによると、昨年発行されたミシュランの観光ガイドの三ツ星に認定されたことによるブームだと思われている。

それによると、入山者は11月3日に2万818人、23日が7万4359人と両日とも昨年の同日比で見るとほぼ倍増しているとのことである。そのうち外国人は3日に493人、23日は1747人と昨年を大きく上回った。4日間にわたる計1266人の外国人観光客へのアンケートを行った調査では、国・地域別ではもっとも多かったのが中国人319人、次いで韓国196人、アメリカ118人、インド102人、フィリピン68人の順になっている。

このうち初めて訪れた人が、約9割を占めている。そのきっかけは、「家族や知人に聞いて」「メディアの紹介を見て」などが多かったと言う。

八王子市では、これまでも外国人観光客向けに、英語や中国語・韓国語併記の案内板、パンフレットなどを作って来た。しかし、ここにある薬王院など歴史・文化にまつわる価値の紹介などについては十分な説明が出来ていないという声も出ている。今後は、それらに対しても大学が多い地理的条件を生かして、学生や留学生による通訳ボランティアの育成に乗り出したいとの意向を示している。

同協会では、将来を見越して「今後はますます外国人観光客が増える可能性があり、出来るだけボランティアを育成したい」としているそうだ。

 

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今年の酉の市はどうなのか

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今年も暮れに近くなり、名物酉の市が始まった。

毎年、縁起物の熊手を買い求める人たちでにぎわう東京・浅草の鷲神社の酉の市の様子がテレビで中継されていた。今年の異変は、歴史始まって以来の「値札」が登場したと言うのである。何でも「値切るのは恥ずかしい」という客が増えたそうだからという理由で、こうなると売り口上と客との値切りの風物詩も消えそうだ。

江戸時代初めの1630年頃に、ここ鷲神社で酉の市が始まったのが全国に広まったとされている。あの熊手のたくさんの飾り、「福をかき込め」の願いを込めて七福神、大判小判などを乗せて作られるようになり、商品には値札はつけないで客との軽妙なやり取りで値段を決める。これが昔からの習わしだった。

売買が成立すると、売り子が客を取り囲み「手締め」の儀式を行い、「よーっ、商売繁盛!」と威勢のいい掛け声とともに手拍子が鳴る。これこそ江戸情緒たっぷりの昔ながらの伝統風景であり、客も買った満足感に浸るひと時と言える。

ところが、今年は不景気とともに複数の店で値札が登場したと言うのだ。

神社総代の横山さんによると、「お客さんに気軽に買ってもらう配慮からです」と話している。内情は、昨年の酉の市でアンケートを取ったところ、「売り子との会話が恥ずかしい。値切ることにためらいがある」と売り子、買い手の双方に一致する思惑が出てきたそうだ。特に若者の間にそんな声が多かったそうだ。そこで、神社と業者とが話し合い3世紀以上続いた伝統に「1万円までの商品に限って値札を出してよい」と申し合わせたそうだ。

値札を付けた商品は、境内の約100店のうちでも1割に満たないもので終わった。今年は、三の酉まで、11月5日の一の酉、17日の二の酉、三の酉は29日になる。火事が多くなければいいのだが。世代が変わり、日本の伝統行事もそれにつれて変わって行く。一抹の寂しさとともに、そこには合理性を求める世代の流れを感じ取れる酉の市となった。

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